サロンヒロキ

ある深夜のことだった。一人の塾人が某SNSで呟いた。滅多なことでは自分のことなど書かない男が。「胸の中に溜まったことを吐き出そうと書いていたら、パソコンが落ちました。書いてはいけないという神様からのお告げだと思って、止めておきます…」
「読みたい」「私も読んでみたい」コメント欄に戸惑いながらも男はこう返した。「誰でも読める状況では、書いて良くない内容でした。読みたいという方だけが読めるのでしたら」
こうして会員制サロンが始まった。ただの呟きなので会費は無料だが、読んで面白かったら、イイねやコメントをするというルールだけが存在する。数人のサロン会員からのリクエストに応え、ある回の内容を転載する。(筆者)
第47回サロンヒロキへようこそ。目が良い人ほど老眼が進むのが早いらしい。地域でボクほど遠くのモノが見える人間はいない。そう言い切れるほど目で苦労したことがない。子どもの頃あまり勉強していなかったのだろうとよく言われる(笑)。
先日の保護者面談で話題になったのが、子どもたちが生活の中でほとんど文章に触れないということであった。国語を教えていなくとも「だろうな」とは思っていたが。目にするのは画像や動画ばかりで、勉強のときだけ読解を求めても彼らだって困るだろう。読書以前の問題だが、面白い本は一つのきっかけにはなり得る。最近トンと読書離れが深刻なボクも「自分が読まずに奨励するのもいかがなものか」と一念発起し、積読している40冊ばかりの書籍を夜間に片付けようとライトスタンドをネットで購入したのである。
宅配が最近ストレスに感じていた。たいてい不在時にやってくるし、時間帯指定すると荷物が来るまでは外出できない。今回は楽天だったので時間指定もできないし、自分のタイミングで取りに行くほうが便利だろうと初めてコンビニ受け取りにした。ところが届いたという連絡はいっこうに来ないが追跡調査をすると届いている。スマホを持ってそのコンビニへ行くと「マルチコピー機に番号を入れて、バーコードを出して持ってきてくれ」と言われる。それらしき2種類の番号に目を凝らして入力するが、何度もはじかれる。メールの本文は拡大できない。いつもの仕草で1m近く離して12桁と9桁の数字を入れる。またはじかれる。後ろに人が並ぶと次第に滝のような汗が流れた。出直すことにした。
4月の全国研修大会のある出来事を思い出した。スマホの操作を教わりスマホを見やすいよう目から離したところ、某女史から「Wi-Fi飛んでいますよ」と突っ込まれた。だが以前購入した目がクラクラする眼鏡を探すよりも「設定」でスマホの文字を拡大するほうを選んだ。ん~、これはダサい(笑)。父の携帯を見て「年寄りだなぁ」と嘲笑していたことを思い出した。寄る年波には勝てない。バーコードを出せたら、意地を張って携帯の設定を元に戻そう…。
ここからの話を全部書くと(つづく)になるので結論を書こう。ボクの荷物は確かにそのコンビニにあり、入力した番号も間違っていなかった。機械を通さないで受け取るとコンビニに支払われる手数料が発生しないと言われ何度もトライしたが、どうやら「コンビニ受け取り」にせずに、そのコンビニを荷物の「住所」にしていたらしい。どおりで「届きました」メールが来なかった訳だ。カスタマーセンターに「では、コンビニの店長に代わりにそう説明してくれ。荷物は受け取っておくから」と言うと、「レジ越しに受け渡しはできない。一旦配送業者が回収して、また連絡する」と言う。ボクはぐったりした。コレがジャパンだ。
店長に「ボクの荷物はそこにある。ボクもここにいる。でもそういうことなので。後で業者が来るから」と店を後にしようとした。すると「バーコードが出なくても、お渡ししようと思っていました。手数料はいいです。受け取ってください」と言う。ボクは逡巡したが、こう言って店を出た。
「なにかあったらそちらも困るでしょうからこのまま帰ります。配送業者から連絡があったら、こう言いますよ。この店を受け取りにして、また送ってくれって」。すっかり時間を食ってしまった。何時間やっていたんだ…。スマホで時刻を確認したが、文字は相変わらず小さく読めなかった。
カット!

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