講師のための英文法 vol.3

近藤 誠介(文化の森スクール・徳島)

法助動詞 , 仮定法 の法とは?

助動詞

助動詞には,be,have,doの進行形,受動態,完了形,疑問文etcを作るものと,法助動詞がある.

法助動詞(modal auxiliary)とは,法性(modality)のある助動詞である.
法性とは,話し手が述べようとする事柄に対する話し手の意見・態度,つまり話者の気持ちを表すもので,以下のような助動詞である.
shall ,should, will , would, can, could, may, might, must, have to, ought to, need, dare, used to, be going to, be to

・意志(決意、自発、意図、固執)be going to, will, shall, can, may
・許可 may, can
・禁止 不許可 may not , cannot ・不履行 be not to , must not
・強制,義務,必然性 be to, have(got)to , should , ought to, might, could(忠告、親切な示唆), must , need, dare
・義務,必要性の欠如 mustn’t, be not to , shouldn’t, ought not to,
don’t have to , don’t need to , need not
・能力 can , could , be able to
・可能性 can, be to , may, could, might
・蓋然性,期待,予測性,信念,推測 should, ought to , be going to ,will ,can ,could
・習慣 will ,would ,used to

ひとこと:法助動詞は話し手の気持ちを表しているのだから,必然的に全て推量の意が含まれます.また,日本人は会話が苦手といわれますが, Can you speak English ? ときかれたら,Yes, I can. 所詮,主観の問題なのですから,心意気でI can. で答えましょう.

仮定法

法(mood)とは,文の内容に対する話し手の心的態度を表す動詞の語形である.法は,直話法,命令法,仮定法がある.
・直説法(indicative mood)(叙実法)事柄を「事実を,もしくは話者が事実であると思っていることとして」述べる叙法.
Bill has gone to Australia.
・命令法(imperative mood)命令・依頼などを表す叙法.
Go at once.
・仮定法(subjunctive mood)(叙想法)事柄を現実の事実としてではなく,一つの「想念」,すなわち,話し手の心の中で考えられたこととして,あるいは仮想世界の状況として述べる.

仮定法過去
A)現在の事実に反する仮定を表す.If S 過去形, S 〔 would , should (1人称のみwouldと同じ),could, might〕 原形
B)純粋な仮定を表す 「仮に…だとするならば」
・If you had a million dollars, what would you do ?
・未来についての可能性の低い仮定
・If you should see John, give him my regards.(よろしく言って下さい)
万一のshould「まあないと思うけど,もしあれば…」
・Who would get your money if you were to die?
仮にのwere to ,「仮定のための仮定」

仮定法過去完了
注 If I had been in time for the plane, I would be there now.
条件節…仮定法過去完了, 帰結節…仮定法過去

仮定法現在…動詞の原形(不定詞)
・祈願を表す節でGod save the Queen !

・that節中で 命令・提案・主張・必要・緊急などのthat節で,should原形か,仮定法現在(原形)を用いる.
a. 動詞 demand, suggest, propose, decide, insist, order,…
b. 形容詞 necessary, essential, advisable, important, desirable,…
c. 名詞 decision, order, resolution,…

He demanded that she pay him. (she should pay him.)
これは,古い用法がおもに〈米〉に残ったもので,〈英〉ではshouldが普通.
ただし,話し手の感情や判断の原因,根拠を表すthat節ではshould+原形もしくは直説法現在を用いる.
It is natural that he should get angry.
同じIt is ~ that …であるが,必要とか要求の場合は,that 節の中のことが想念(思っていること)であり,感情…の場合はthat節の中が事実である.この場合、イギリス人はshouldを好み、アメリカ人は直説法現在を好むようである.

ひとこと:頭の中の空想,妄想,願望,後悔….仮定法より,叙想法という言い方の方が適切では.