教育・不登校フォーラム 2022に参加して [2022.11.23]

文:私塾ネット副理事 中村直人

2022年11月23日(水・祝)に、雨の中越谷サンシティ ポルティコホールにて、NPO法人フォーユー研究会主催、後援:吉川市教育委員会・越谷市教育委員会、協力:つばさ高等学院・つばさスクールの「教育・不登校フォーラム 2022」というセミナーが、午後2時から開催された。司会は、つばさ高等学院・つばさスクールの仲野日奈子先生。

【 第一部 】
1.フォーユー研究会代表理事の仲野十和田先生ご挨拶


 10年ほど前に通信制サポート校を開くと決めた頃、「学校に行かない子を持つ親の会」の勉強会に月1回参加するようになった。そこで家庭が学校に持つ不満と学校側の立場の不一致はなにかと考え、それらを解消していきたいということで、NPO法人フォーユー研究会を立ち上げ、「学びの会」というものを開き、学校の先生方と地域の家庭と我々民間団体が月1回現在も一緒にいろいろ悩み事や相談をしている。
 フリースクールつばさの紹介は、会場にいた卒業生の中島さんに急遽お願いする。

2.基調講演 全国不登校新聞社代表理事 石井志昴様 

[プロフィール]石井氏は、1982年生まれ東京都町田市出身。中学受験を機に学校生活が合わず、教員・校則・いじめなどを理由に中学2年から不登校。同年フリースクール「東京シューレ」入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する「不登校新聞」のスタッフとなり2006年から編集長を務め、現在全国不登校新聞社代表理事。これまで、不登校の子供・若者・識者など400人以上に取材し、色々なメディアにも出演している。
 20年にわたる取材により得た結論。「引きこもり・不登校は、人には必要な時がある」。その原因が分からずとも、学校から離れる・家で休む・自分なりに自分と向き合う時間を持つことが必要だ。なぜそうなったか分からなくても、その人なりに確かな理由があり、ダメなんじゃない・回り道でもない、不登校でも大丈夫なんだ。離れた方がその人なりの人生が豊かになるんだ。

 まず文科省の不登校に対する見識・基本方針が大きく変わった。
その1.不登校へのとらえ方:その行為を「問題行動」と判断しては
   ならない。
その2.不登校対応:学校復帰という結果だけを求めない。最終的   な社会的自立を求める。
 これらは、教育のトレンドが変わり、みんな同じにという公平性の担保という観点から、それぞれの人に合ったやり方、個別最適化の時代に入ったからである。これらの背景には、①「教育機会確保法」の成立(2016年)②「学習指導要領の改訂」(2017年)③学校復帰の前提対応を変えるため、(いままで問題行動扱いしていた)過去の通知をすべて廃止(2019年)がある。しかし、まだ世の中に、十分徹底されていないのも事実である。

 情報として、皆さんあまりご存じないのは、不登校になってその後はどうなったかというところである。まず例として、ご自分の体験談を話される。親に学校は無理と伝えた14歳からフリースクール以外の学校にはかかわらずに現在40歳まで至っている。
 次にご友人のフィギュア作家の竹内信善さんのお話をされる。小学校高学年から学校に行かず、フィギュア作り一筋でやっている。現在数少ない東宝からゴジラを作る認定をされた作家である。
 不登校だった有名人は、千原Jr.さんや中川翔子さんほか多数、有名でなくてもキックボクサーから国会議員まで種々様々な職業についている。どんな可能性でもあるということだ。

 不登校の人が新しい第一歩を踏み出す前触れは、「ヒマだな~」の連呼。ヒマと感じられる状況になる時だと言う。それを聞きのがさないように。かなりの確率で抜け出せる可能性がある。ただ、いつそうなるかは分からないので、ひたすら忍耐が要求される。
 心療内科医の明橋大二先生の「心が回復するまでの地図」の紹介。これは、不登校の状態を把握するのに役に立つ。石井さんは6年かかったといいうので、マクロの見方としていただきたい。①から④まですんなり進むわけではない。行ったり来たりするものだ。

①身体症状 対応:環境調整
②感情の噴出 対応:付き合う
③言語化 対応:最後まで聞く
④親離れ 対応:日常はミクロな視点で

 いろいろ詳細に話された内容は、紙面の関係で載せられないので、興味のある方は以下を。
 「学校に行きたくない」と子供が言ったとき親ができること(ポプラ新書)石井志昴著
 
【 第二部 】つばさの生徒さんたちによる出し物

 現役のつばさの生徒さん池端君と秋谷君二人の進行で始まる。まず、生徒さんたちが作ったオープニングムービーを流した。ついで、佐々木さんと岩崎さんの各ソロと二人のデュオダンスが披露される。大学を1日で辞めて来た秋谷君の自己紹介。職員の諏訪哲先生による野球物まね。司会の池端君が、介護のデイサービスのバイト先で行っているとんち文字クイズを会場を巻き込んで行う。生駒君が作ったエンディングムービーを流して終わる。つばさの皆さんの一生懸命さが新鮮でした。例年と違うこういう形もいいですね。

【 第三部 】パネルディスカッション 司会:林 真路先生

石井志昴様(全国不登校新聞社)・和泉典子様(まなびリンク)・岡亜紀子様(保護者)・小野田光伸先生(NPO法人フォーユー研究会)・岩崎さん(つばさスクール生徒・中2)
 内容は、紙面の関係で省略。特に輝いていたのが岩崎さんで、受け答え等、率直に見事に応じて話し、この討論会の主人公だった。参加の石井志昴様も感心していた。事も無げに言う、「リスカ」には大人はドキッとさせられますね。

 17:00終了後、個別の相談の場が設けられた。