私塾ネット関東・埼玉県私塾協同組合共催 年末研修会報告 [2022.12.11]

文:私塾ネット副理事 中村直人

2022年12月11日(日)午後12時半より、私塾ネット関東と埼玉県私塾協同組合共催の年末研修会が、東京御茶ノ水のワイム貸会議室4FのROOM Eにて行われた。今回は、東京2名・埼玉2名・青森1名と各地の先生方に、=新年度教材研究=の講演をして頂くことになった。司会は、私塾ネット事務局の長江広紀先生。当日は、会場・WEB合わせて37名ほどの参加があった。

□初めに、埼玉県私塾協同組合の理事長坂田義勝先生の御挨拶。次いでこの研修会の計画・立案・実行をされた、私塾ネット関東代表渡辺浩先生の御挨拶の後、すぐに講演が始まった。

①【国語】柏木眞先生(サイエイスクール・埼玉)


 まず、⦅私:S⦆が|それを:O|する:V。という能動文と、⦅それ:主題⦆は|私が:S|する:V。という主題文を理解し、「⦅何⦆…どうなる」という関係性《論理ベクトル》を把握し、論説文を読み解くことを示される。また、話題の提示から、次に説明・補足が入り、具体事例を挙げ論証し、最後にもう一回話題を回収する呼応・呼び合いの基本パターンを確認し、実際の22年都立高校国語入試問題の論説文を題材に会場参加の方達に解いてもらう。普段大人は無意識にそれらをやっているが、15歳の生徒にどう説明するか意識して読むように指示される。詳細な解説の後、設問のなぜか?に対し、主題がどうだからと論理的に答える訓練を《論理ベクトル》を通し、しっかり行うべきだというのが先生の今日の講義の要旨となる。
 柏木先生のメソッドを生かして作られたのが、育伸社の「ベストセレクト」という教材である。また先生が直接吹き込まれた音声の解説が付属しているので、是非それを聞いて赤線を引いた部分の解説を読んでもらいたいとのことであった。

②【英語】菊池美伸先生(サイエイスクール・埼玉)


 ご出身は秋田で、英語は一生懸命勉強しなければいけないが、秋田弁はネイティブでいつでもOKとつかみは万全。1990年にサイエイに入社し、英語専門のサイエイインターナショナルで仕事をされているとの自己紹介があった。今回は、自学自習で英検合格に向けた総合的な英語力をつける育伸社の「リズムでマスター」の紹介。特に、実際の授業でのお勧めの使用法を指導する。
 英検準2級Unit1を、育伸社様の吉田様と川田様お二人に前に出ていただき、生徒A役と生徒B役を実演していただく。
1.左のポイントを黙読してもらう。(input)2.次に先生の後について発音練習(output)。3.下の準2級レベルの関連単語を発音して覚える。(input)。4.A:(日本文のみ見て)Hurry up! We’ll be late for the graduation ceremony. B:(日本文のみ見て)You go ahead! I’ll catch up with you in a minute.(output)5.A役、B役を交互に替え、単語も opening ceremony やaward ceremonyに替えて続ける。(input)(output)を交互にリズミカルに行う。オリジナルアイデア例えば、weddingやmeetingなど生徒がアドリブで置き換えて言ってもらうのもいいが、あまり良い例は期待できないので、教師が事前に用意しておくのも大事。続いて、会場の参加者にも違う例文で実践練習していただく。皆さん二人一組になって、にぎやかに英文を見ずに発音しての練習を楽しく行う。
 育伸社吉田康孝様より「ベストセレクト」及び「リズムでマスター」の教材のほか、集客支援となる自立学習支援システムのi Step Clubのご紹介があった。

③【理科】伊丹龍義先生(学びエイド鉄人講師・東京)


 伊丹先生は、個別指導のSRP教育研究所の経営ほか、映像授業・オンライン授業等の講師を各所で担当されている。家庭教師のトライの映像授業TryIt やオンライン予備校の学びエイドなどで活躍。スイーツマスターは関係なし。初めに、好学出版の「ウイニング・映像ウイニング」のお薦めの点5つを挙げられる。1.フルカラー。理科では内容のイメージがしやすい。2.図表の多さと分かりやすさ。実験問題など伝わりやすい&解きやすい。3.説明の流れにストーリー性が高い。生徒一人でも集団授業でも、読んで進められる。4.強化学習(必要な所だけ)定着&テスト前演習もしっかり。5.素晴らしい講師による映像授業がある。3学年で1319本用意され、分からない所だけ見ても家で個別指導と同系統の学習ができ、また授業の効率化が図れる。映像のみ視聴は不可。テキスト必須。映像は、学びエイドマスターでも視聴可能。
 もう一つ無料アプリの〇〇〇Itを紹介。Youtube上に中高で約4000本の映像授業がアップされており、学校の予習・復習に、ウイニングの前段階に有用である。
 映像授業は続けるモチベーションを維持するのが難しい。それに対し、スタディプラスという生徒学習記録システムを推薦する。(スタプラについては広報79号参照)紹介された、以上のツールを組み合わせ、現実的な理想の学習の構築を図る。学習塾での使用モデルを4モデル提案されるが、紙面の関係上省略。また、いたみ先生の出張講座&説明会もあり、詳細は「itami2@srp」まで。先生の講演は、非常にテンポよく、笑いをうまく取る軽妙なトークで大変印象的でした。
 好学出版の郷家裕也様が登場。「ウイニングノート」という映像授業だけでなく集団授業でも使える支援教材の紹介と自社の「新ワーク」という教科書準拠の教材にも映像があるのでホームページより、サンプル動画をご覧になりご検討をよろしくとのこと。

③【社会】佐々木康先生(やまばと学習館・青森)


 やまばと学習館は、青森県浪岡で平成8年創立、小学生~高校生まで集団と個別のコースを持っている学習塾である。今回は集団指導コース中3についてお話しされる。エデュケーショナルネットワークの「ワーク」という教科書準拠の教材を基本に使っている「ワーク」(EN)[4月~1月]は、標準レベルの問題から文章記述の問題まで載っている。解答欄が右端にまとまっているので後ろに折れば何度でも練習できる。生徒はテキストを持っているが、授業ではプロジェクターにてホワイトボードにテキストの映像を映し、生徒に前を向いて教師と一緒に授業を受けてもらう。資料や地図・写真等も使える威力もある。受験対策として、まず「ウェイ・アップ」(EN)[4月~7月] 基本中の基本で受験生としての自覚を持ってもらうためにやらせている。ついで「ウイニングフィニッシュ」(好学出版)[8月~3月]各単元の初めの教科学習のまとめの部分が分かりやすく使いやすい。分厚いが2周やらせている。1度目はノートに、2度目はできなかったところを直接書きさせ、参考書として使えるようにしている。18年間やって受験期に必ずやらせているのが「入試パターン別問題集」(好学出版)[12月~3月]資料の数が圧倒的。したがって資料から考察する力が付く。生徒の皆さんと一緒に考察する授業をしている。最後に「3年間の公立入試セレクト」(文理)[1月~3月] 青森は、ほとんど公立高校進学なので、意欲のある生徒には、全国レベルの問題をやってもらう。環境問題やSDGsなど新しい問題にも挑戦する。これは、贈呈している。また、弘前を中心とした塾の団体青森県私塾教育研究会で青森県の高校入試の情報誌を作っている。予想問題も会員である先生が作成している。津軽新報というローカルな新聞記事も話題に出す。こういった社会の学習の根底にあるのは、社会をどのように身近に感じてもらうかで、自分の問題として取り上げてもらうことを考え生徒とともにやっている。
              
④【数学】岩瀬善孝先生(ナカジュク・東京)


 渡辺代表から話すように言われ色々問答した結果、碇先生もナカジュクのことも話さなくていい、自分のことを話せと言われたが、自分から碇先生とナカジュクをとったら何もないので、結局は碇先生の話になる。原点に戻ると2003年の4月の私塾ネット全国塾長・職員研修大会の分科会で碇先生にお会いしたことが最初。その後、碇数学を学びに群馬の碇塾に2003年から5年間月1回通った。沢山の碇先生から教わったことを今回は少し言語化してみた。
 Catch the sense!(センスをつかめ!)
1.流れを大切にする! 2.「なぜ?」を大切にする!
3.深く学ぶことで、タテ、ヨコで考える。 4.「合言葉」にする。
 1.については、図形の流れ【点→線→面】という見方で見ると、多角形の内角の総和の出し方も色々あることが分かる。4.については、七五調で覚えやすいように合言葉を作る。三角関数では、「縦決めて、横を決めたら、四等分、sinスタート、cosスタート」など。ナカジュクでのテキストの選び方なども話された。

□最後に私塾ネット理事長の田中宏道先生の講評と御礼があり無事終了。

 渡辺代表の満を持しての今回の年末研修会は、教材会社の教材とどうやって具体的に使用するかをエース講師の方たちに教えていただき、大変有意義なコラボとなった。内容は、関東のみの研修会という訳ではありませんので、次回は是非他のエリアの方たちもふるってご参加いただきたい。