エリア四国 小野 昭(79号)

エリア四国 山本 壮太郎(稲伸ゼミナール・香川県)

稲伸ゼミナールはこれまで数多くの塾外イベントを実施してきた。それは、教科の学習に限らずに、子ども達の成長につながる様々な体験機会を与えたい、という思いが原動力になっている。

2022年9月18日、当塾が運営する中高生向けPythonプログラミング教育ブランドm.PIMEは、日本財団・イエローピンプロジェクト共同主催の海と日本PROJECT「プログラミングで海のSDGs!」に香川県協力企業として参加し、小中高生に海のSDGsに関する理解を深めてもらうイベントを丸亀市で開催した。

本イベントは、四国水族館館長、日本ウミガメ協議会会長である松沢慶将先生による講演を通して海に対する理解を深めてもらうと共に、「海の豊かさを守ろう」というテーマに対し問題意識を高めながら、ワークショップ(WS)を通じて、子ども達がプログラミングによる社会課題解決を体験する新しい学びの形である。

中高生向けWSのテーマは「Pythonで人と魚の未来を予想しよう!」である。生物の捕食被食の関係による個体数の変動を表す数理モデル「ロトカ・ヴォルテラ方程式」を題材に、本WSでは子どもたちが視覚的に分かりやすく捉えられるよう、グラフを用いることにした。各自が独自に設定したパラメータを基にグラフを描画、そこから読み取れることとして海が将来どうなるかを分析、それを全員で共有することで、データ分析に対する理解を深めることができた。また、m.PIMEオリジナルツール「Pythonボード」を開発したことによって、今までのPythonの経験の有無に関わらず、子ども達が課題に向き合うことができた。決して容易くはないテーマを扱いながらも、子ども達の表情は終始積極的で真剣そのものであり、様々な分析意見を聴くことができた。子どもが成長するためには正答を教科書で学ぶだけではまったく足りない、試行錯誤や妥当解の重要性を改めて実感した1日であった。

また、参加してくれた子ども達への特典として、今回から修了証としてオープンバッジを採用した。オープンバッジとはブロックチェーンと呼ばれる技術を使った、知識やスキルを証明する世界標準規格のデジタル証明書であり、日本国内では、東北大学、早稲田大学、数学検定協会などの大学教育機関や検定団体が採用している。今後、様々な資格や教育課程の修了に利用されていくと考えられる。

昨年2021年はコロナ感染状況が酷かったため、やむなくオンライン方式による実施に留まったが、今年は丸亀市市民交流活動センターマルタスにて、リアル対面開催をすることができ、地元テレビ局の取材協力の元、イベントの様子が放映された。