お祝い・祝辞|實吉 幹夫(一般財団法人 東京私立中学高等学校協会 前副会長)

<編集部より前文>
故實吉幹夫先生は、東京私立中学高等学校協会の副会長の要職を、長年にわたりお務めになられました。また、東京女子学園の理事長校長として私学の経営にあたられ、学校長と協会役員の両面のお立場で、私学と学習塾とのパイプ役を果たされておられました。首都圏における学習塾と私学の交流の歴史は30有余年の時を経ますが、その嚆矢といえるのが實吉先生でした。

令和2年7月1日、まことに悲しいことに實吉先生は鬼籍に入られました。8月に執り行われたお別れの会には、コロナ下にも関わらず、500人を超える参会者を数え、故人の遺徳の大きさを実感させられました。

昨年4月に開催を予定していた私塾ネットの20周年記念大会には、私学代表としてお越しいただきたい旨をお伝えしていました。以下の祝辞は私塾ネット広報20周年記念号のために寄せられていたものです。故人の一文を掲載するのはいささか異例とも思われますが、あえて掲載をさせていただき、實吉先生の遺徳を改めて偲びたいと思います。(編集部)

實吉 幹夫
一般財団法人 東京私立中学高等学校協会 前副会長

「全日本私塾教育ネットワーク」が、役員会員の方々の変わらない情熱に支えられて、設立20周年記念大会を迎えられましたことに心より敬意を表したく存じます。

思えば21世紀という時代の変わり目の2001年、これまで塾経営の理念を共有して組織していた全塾連・PTF・日私会の三団体が大同団結して、私塾ネットを設立されました。私塾ネット設立総会が品川プリンスホテルで開催された日の、先生方の高揚感に満ちたお顔の一つ一つが懐しく思い起こされます。

教育は万人がそれぞれ持つ経験値を基に教育論を語り、一億総評論家と化した集団が存在し、素人は一人もいないというのが現状です。技術革新の波が押し寄せ情報が溢れている社会は、子供達の未来を予測することのむずかしさを大人達に突きつけています。私塾ネット会員の皆様は、常に研修に重きを置いた活動を展開され、日夜研鑽に勤めておられることは、児童生徒学生達にとっては、自分の未来を示唆してくれる存在として、その信頼度は増々大きなものとなっていくでしょう。自分の未来を生きる為の素養を身につけようと、今の時代に留学している「未来からの留学生」の為に活動が継続されていくことに期待しています。東京私立中学高等学校協会も、「研修なくして私学なし」の理念をもと、東京私学教育研究所を中心として、各種の研修会を実践しています。これからも共に手を取り合って次の10年20年に向っていかられればと祈念して、お祝いの詞とさせていただきます。