日本の「学び」をバージョンアップ
アロー教育総合研究所
所長 田嶋 裕
「学習塾の英語教育」だからこそ、鍛えられた。
「アロー総研」と申します。メインの事業は大学入試の調査・研究ですが、最近は情報発信にも力を入れていて、週刊ダイヤモンドや東洋経済の教育特集に寄稿するほか、全国の新聞で「大学」に関するさまざまな記事を執筆しています。そして、いま力を入れている事業が「塾大連携」です。高等学校と大学が協力する「高大連携」は各地で展開されていますが、「塾大連携」は発展途上というのが現状でしょう。大学も学習塾・予備校も互いに興味を持ちながら、なぜか手を結ぶことができない。だからこそ、連携がもっと活発になれば、日本の「学び」はもっとバージョンアップする。こう信じて、大学や学習塾・予備校にいろいろ働きかけているところです。
学習塾と言えば、故郷の函館で小学生のころ通っていた英語塾を思い出します。津田塾大学出身の年配の先生は、津田塾らしく厳格な先生で、落ち着きのなかった私はひたすら怒られていました。授業で使うテキストは、山崎貞先生の『新々英文解釈研究』という分厚い古典の名著で、当時の私にとっては退屈の塊。それ以来、すっかり英語嫌いになったわけではなく、大学受験では英語が武器になって私を助けてくれました。高校や大きな予備校が行うカラフルな英語教育ではなく、あの小さな英語塾だけで生き残っていた、セピア色の英語教育で私は鍛えられたわけです。私塾ネットの先生方とお話ししながら、「学習塾の教育」をもっと研究したくなりました。
それにしても、大学と学習塾・予備校は、どうしてこんなにも縁遠いのか。「教育」という共通のワードを持っているのに、お近づきになれない、不思議な間柄になっています。ちなみに、アロー総研に入所する前は、河合塾で小論文の指導をしていました。それでは、受験予備校で働いていると、大学に詳しくなるのか、というと、そうではありません。もちろん、東大や京大、早慶のような受験生に人気の、予備校も合格実績として威張りたくなるような大学の入試には詳しくなります。しかし、中堅・新興大学のことはまるで知りません。
ならば、トップ校ではない大学について詳しいのは誰なのか。それが、アロー総研が籍を置くアローコーポレーション、つまり「大学の広告代理店」なんですね。首都圏・近畿圏には約360校の私立大学がありますが、そのほぼすべての大学にスタッフが出入りしています。無名でも教職員が情熱的な大学、小規模でも特定の分野で圧倒的な実績のある大学、チャレンジ精神が旺盛で急成長を遂げそうな大学、そういった「耳より情報」を所有しているのが広告代理店と言っても過言ではありません(逆に、有名なのに組織が硬直化し、迷走している大学、といった情報も知っています)。手前味噌ですが、こういったことを得意にしている業者も世の中にはありまして、日々の教室運営の中で役立てていただけたら、と思っています。
しめくくりに恐縮ですが、宣伝です。アロー総研では、2022年5月31日(火)。ベルサール秋葉原で『高大接続総会』を開催します。対象は高校教員、学習塾・予備校の先生方で、入場無料。来場者には進学情報誌『大学入試解体新書』をさしあげます。国公私立大学42校が、個別相談ブースを設けるので、このイベントだけで、42大学の情報を入手できます。また、会場内では、さまざまなプレゼンテーションを行います。スペシャルゲストは、小・中学生に人気の教育系YouTuber葉一さん。また、高校の「新指導要領」に関連したプログラムも多数用意しています。
塾大連携で、日本の「学び」をバージョンアップ。ご来場をお待ちしています。