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学習塾業界の活性化を!

教育開発出版株式会社
代表取締役 糸井幸男

「この私塾ネット広報第76号が発行される頃には感染終息の見通しが立っていれば…」と思いつつ、未だ感染拡大が治まらないコロナ禍、1月にこの文章を綴っております。

世界的に経済活動への甚大な影響をもたらせた新型コロナウィルスでした。が、様々な“気づき”も起こしたのでは?と私は考えております。※怒られるかも知れませんが…

先ず我々学習塾業界はサービス産業という経済カテゴリーの中では比較的コロナに強かったこと。これを気づかせてくれました。経済産業省の調査(特定サービス産業動態統計調査)では、学習塾業界のコロナ禍の2020年度売上(月次平均)は前年2019年度対比で95%でした。売上の激減が懸念された学習塾業界でしたが大きな打撃は受けずに済んでいます。因みに学習塾同様の通い事サービス業では、「外国語会話教室」が同78%、「フィットネス」は同65%といった惨状でした。緊急事態宣言が発令され児童生徒の通塾が困難になる中、学習塾はオンラインでの授業などで児童生徒、保護者との繋がりを保ちコロナによる損害を最小限に止めたと言えます。学習塾はそのクライアントとなる児童生徒そして保護者との結びつきが非常に強い業種であることを改めて認識したところです。外食業で常連客の95%をテイクアウトに移行させることが可能だったでしょうか?勿論、否です。

通塾は揺るぐことの無い強いニーズであることを今一度、我々はしっかりと認識をするべきでしょう。

また、学習塾の授業、小学生や中学生の授業は「対面授業」が主流であることにもコロナは改めて“気づき”を与えてくれました。新型コロナウィルスの感染が始まった一昨年の新学期、学習塾や学校の教育現場では一斉にオンライン授業への切り替えを行いました。当社も教材の解説映像やコンテンツのデータ提供などのサービスを展開しました。が、昨年8月に発表された全国学習塾協会の調査では83.6%の保護者が「対面授業」を希望し、昨年春からは殆どの学習塾で一部オンラインを併用しつつも「対面授業」を再開しています。大学ではオンライン授業を希望する学生が多く存在するようですが、やはり学習塾では「対面授業」が主流の様です。授業を受けながら児童生徒同士で励まし合い、競い合う空間が学習塾なのでしょう。オンラインを利用したDX(デジタルトランスフォーメーション)は今後、学習塾業界においては授業ではなく、家庭での学習サポートとして活用されるツールとなりそうです。今後、家庭学習市場に対しても着目する時代が到来すると思われます。

2020年、2021年は「教育改革元年」とも言われていました。コロナ騒動が起こらなければ、もう少しクローズアップされていたことでしょう。新学習指導要領や大学、高校入試で求められる学力は従来の“知識・技能”重視型から“思考力、判断力、表現力や主体性、多様性、協働性”を問う実践的問題解決型に変化してきています。今から約40年前、学齢人口の増加と高校進学率の上昇による高校入試市場拡大に伴い受験産業として全国に拡がった学習塾業界ですが、今後は時代の趨勢と共に変化する学力に応じた新たなニーズを創造してゆく必要が有りそうです。コロナ禍でも堅調だった学習塾が最も注力していたのは“児童生徒の学習モチベーション喚起”でした。私は「新たに求められる学力は“児童生徒の自己肯定感”が原点となる!」と考えています。これもコロナによる気づきでした。

コロナによる“気づき”を学習塾業界の活性化に繋げる事こそ、真の意味でコロナ禍を乗り越える王道と言えるのではないでしょうか?私塾ネットの皆様、共に頑張りましょう!

教育出版開発株式会社