エリア報告|鈴木 正之(いぶき学院・東京都)

突然のことでした…

立ち退き。

2020年12月、塾生の出入りが激しい夕方のこと、塾の入り口に190cmも有ろうかと思える男性が2名。「この度、このビルの家主が我々の会社になりました。つきましてはお話をしたいことがあります」。

この話が立ち退きの話だったのです。契約上は6か月後となりますから、2021年の「6月で立ち退いてくれ」となったのです。12月に言われても、すぐ受験があり、その後新年度の塾生募集があり、新年度の計画も立て終わっている状況で、まさに青天の霹靂でした。

しかも、6月では新年度を迎えてすぐ立ち退きとなり大混乱となることが必至。何と言っても、移る場所が無い。当塾は25年前10坪の教室で設立、その後40坪の教室に移転して20年やってきました。立ち退きの話が出た時に一番に思ったことは、「今まで我々がやってきたことは何だったのだろう」と言うことでした。今の場所で信頼を得て、地域で1番の学習塾ではありませんが、少なくとも地域では選択肢に入る塾になってきたと思っていました。自分のやってきたことが全て無となるのではと考えると辛く。頭の中でこの25年間コツコツと積み上げてきたものが、一気に崩れ落ちたのです。

いよいよ立ち退きの交渉が始まり、こんな体験はしたことが有りませんから、プレッシャーが半端ではありませんでした。相手はその道のプロで、少し怖い感じのする人達です。その間、何も決まっていないのに塾生たちに知れて混乱を招くことは絶対に避けたいと考え、正社員にだけ話はしましたが、他の誰にも言うことが出来ずにいました。しかし、自分だけではとても乗り切れるものではなく、何人かの方にだけ相談はさせていただきました。交渉についてのアドバイス、教室の移転場所のリサーチ等で本当にお世話になりました。本当に有難かったです。正直なところ何度も挫けそうになり、その気持ちを支えてくれたのも人でした。家族、学習塾の仲間、職員、友人、そして塾生です。

交渉は12月から毎週行われ、1月には大筋合意となりました。ただ、立ち退く場所が決まらない限り出ていくことが出来ないので、立ち退き時期は未定となりました。移転場所探しは知り合いの不動産屋さん、某塾のT先生(立ち退きの交渉のアドバイスもしていただきました)の協力を得つつ、日々インターネットでの物件閲覧をしました。まず立地と広さを優先に考え、駐輪場も欲しい。もちろん家賃の問題も有ります。本当に良さそうな物件は見当たりませんでしたが、とにかく立ち退くしかありません。同じビルの店子も立ち退き、住人も次々と出て行っています。贅沢は言えず、なんとかできそうな物件があると、机等のレイアウトをして交渉をするということの繰り返しです。理想とはかけ離れている物件でも打診をせざるを得ません。それでも3件断られ3か月が過ぎました。

すると、T先生から電話「良い物件がある」不動産屋さんからも「その物件が良い」と言われたのが今の新教室です。旧教室から徒歩1分ほど、大井町駅にむしろ近くなり立地としては問題ありません。難を言えば、駐輪場が無いこと、ビルの8階であることでした。駐輪は近隣の有料の駐輪場に止めてもらうこととして、今年度はその駐輪代を支払うことにしました。ビルの8階で塾生が集まるのか不安ではありましたが集めるしかありません。今年度が勝負です。ちなみに当塾の入っているビルと隣のビルは、共に8階建てでその半分は教育関係(塾や英会話)が入っています。それが幸いとなればと考えています。

お世話になった皆様に御礼申し上げます。そして新しい塾舎となり、皆様には色々とご相談させていただくかもしれません。今後ともよろしくお願いいたします。