秋海棠(しゅうかいどう)という花をご存じだろうか。当方はこの表紙絵と添えられた句に接して初めて知った。歳時記では秋の季語に属し、中国原産のシュウカイドウ科の多年草の花。湿地を好み庭園などで栽培される云々とある。姿かたちは絵のごとく、茎から紅色の節と花柄が垂れ、その先に薄紅色の花をつける。掲句ではこの花房の垂れた様子を「うつむき偲ぶ」ととらえ、逝き人への追悼としている。この号では3名の方の追悼文を掲載した。個人的には1月に兄を亡くした。令和2年は「コロナの年」として記憶されるのだろうが、また一方で縁ある方の逝去に多く接し「秋海棠の年」と記憶することになりそうだ。(志)