エリア関東 渡辺浩 (70号)

エリア関東 渡辺 浩 (渡辺塾・東京都)

今回のコロナ禍で学んだことが3つあります。1つ目は防災意識が足りなかったということです。普段から自然災害には気をつけ、台風や地震などの自然災害があった時にはこのように対処いたしますという防災マップ的なものは入塾の際に保護者にはご説明申し上げているのですが、まさかインフルエンザを越える疫病が、日本のみならず、こんなにも世界中に感染する事は流石に予測できませんでした。よく言われることではありますが、泥棒を見て縄をなうようでは遅いんですね。常日頃、さらに防災意識の視野を広げる必要がある事を学びました。なにせ、学習塾は大切な子どもたちの命も預かっているわけですから。現在、東京では緊急事態宣言も東京アラートも解除され、コロナ前の日常を取り戻そうと人が動き始めています。残念ながら毎日50人近くの新規感染者が出ております。しかし、学習塾内でクラスターは絶対に発生させてはならないと考え、自塾では講師と生徒の机の間にビニールシートを天井から吊るし、飛沫感染を防ぐよう取り組みました。まだまだ感染防止に努める必要がありますので、感染防止で出来る事は何でもやっていこうと思います。

2つ目はICTに関する基礎知識を始め、世の中がどれだけ進んでいて、かつ自塾がいかに遅れているかということを痛感いたしました。3月に学校が休校になりましたが、学習塾はほとんどが通常に子どもたちを通塾させていたように記憶しています。しかし、段々と日が経つにつれ、外出することへの危機感が募り、4月には緊急事態宣言が発出されました。それに伴い、学習塾も通塾をストップさせ、Zoom等を用いたオンラインによるリモート授業を余儀なくされました。自塾の例を申し上げますと、初めはZoomという言葉自体知らない保護者の方が多く、Web会議システムについてご説明申し上げ、全ご家庭にZoomをインストールしていただく事から始めました。中には安全性を危惧されるご家庭も有りましたが、そこは丁寧にご説明申しあげ最終的にはご理解いただきました。

各家庭のネット環境も幸い心配されたような「Wi-fiがない」「タブレットなどのネット機器がない」などの不具合はなく、スムーズに繋がる事が出来ました。ただ、いきなりZoomによるライブ授業は抵抗があると考え、映像授業を無料で配信し、週1回Zoomで質問対応するという形から始めました。結果、生徒さんはリモートにも慣れ始め、小学生にはオンライン工作教室などのイベントも取り入れる事で抵抗感をなくしました。5月に入り緊急事態宣言が延長され、5月から正式にオンライン授業に切り替えましたが、不平や不満は一件も出ませんでした。6月になり、学校も再開され、自塾も徐々に通塾形式に戻し始めましたが、Zoomによるリモート授業は今後来るであろう緊急事態に備え、継続していこうと考えております。また、Web会議システムをはじめ、様々なツールを活用し、今までのICTへの不勉強を反省し、上手に活用していきたいと思います。

3つ目はこのリモート授業を通じて実感したことですが、日々我々が行っている授業は正に『五感』を使って授業をしているのだということです。今まではそこまで意識した事は有りませんでしたが、タブレットの画面だけで授業のやりとりをしていると、恐らく使われていた先生方は感じた事だとは思うのですが、物凄く疲れます。いつも以上に気を使い、常に「見えているか」「聞こえているか」を確認し、沈黙を避けるために解説時間が長くなるといった形の授業が続きました。このような形の授業に対して生徒さんどう感じたでしょう。効率を重視する生徒さんは渡りに船でしたよね。いわゆる無駄な時間が省かれるわけですから物凄く便利に感じたと思われます。また、面倒くさがりな生徒さんはどうでしょう。こういった生徒さんも、「塾に通わなくてよい」「着替えなくてよい」「授業中に飲んだり食べたりできる」なんていう面だけで好んで使っていた生徒さんもいるでしょう。普段からあまりやる気が感じられない生徒さんに至っては、途中で画面が消えたり、又は意図的に消したりと、塾として対応するのに一苦労されたと思われます。今、通塾形式に戻り、対面式の授業が再開されて改めて思う事は、タブレットの画面では確認できなかった生徒の表情や所作が直接確認できますし、指導した内容の確認のためのテストをする事もできます。演習をさせ、生徒がどこを見ているか、どこでペンが止まるかも確認できます。目の前にいる空気感も感じます。こういった五感を駆使し授業が出来る事の有難さを再確認し、来るべき第二波・第三波に備え、生徒さんの学びの手を止めないよう学習塾としてしっかりとサポートしていきたいです。