私塾ねっと誌上句会「春夏秋冬」再開第十一回

<谷村選&評>

三歳が一歳ぎゅーするちゃんちゃんこ
登り来て目に飛び込むや冬桜
中村直人(神奈川県)

三歳の句、ご自分のお孫さんを詠んだのでしょうが、祖父の優しい視線が垣間見えて秀句ですね。三と一の数字、ぎゅーするとちゃんちゃんこの平仮名文字、この取り合せが句をいっそうひきたてました。ほのぼのとした温かい家庭の様子が伺えます。

懐炉貼り社殿太鼓のばち握る
てっちりや皿の模様の透けて見え
木内恭裕(徳島県)

懐炉貼りの句、いささか古びてわびしい神社と年老いた宮司の姿が見えます。私の子どもの頃、村の鎮守の森が遊び場だったのですが、その後その社を守る者も絶え廃社になったと聞きます。全国津々浦々に見られる世相ではないでしょうか。

七輪の餅と笑顔の祖父と孫 
スケートで転ぶ弟立ち上がり
監物一男(埼玉県)

ほのぼの系の監物さんらしい句が並びました。七輪の句、中村さんの句とはまた別な味わいがありますね。いわば令和と昭和の世代描写の違いでしょうか。孫を詠んだ句は失敗作が多いと言われています。監物さんの句は、第三者の視点での孫と子の描写ですから佳句となりました。

旧年を泡と流せる初湯かな
能登半島(はんとう)の咆哮聞くや三が日
谷村志厚(千葉県)

令和6年の元日の突然の出来事に、正月の淑気が消し飛ばされました。千年に一度の地殻変動だそうですが、このような天変地異の繰り返しで、日本列島が生成されてきたのだと実感させられました。その後のTV報道では繰り返し能登半島の姿が映し出されました。その形に咆哮する怪物をイメージしたのは私だけでしょうか。

編集部よりお願い

次号は5月上旬発行の春号です。 投句はお一人3句まで冬の季語でお願いします。投稿は、谷村までメールでお送りください。締切りは1月末日です、ふるってご投稿ください。