今だから比べてみよう「英語スピーキング対策」 [2023.6.23]

文:私塾ネット広報部長 宮澤 歩

6月23日(金)ZOOMにて、私塾ネットエリア関東夏の研修会が開催された。開催協力に東京私塾協同組合、後援に埼玉県私塾協同組合、千葉学習塾協同組合、NPO法人学習塾全国連合協議会東日本ブロックにお願いをし、3組5社からの講演を行った。

渡辺エリア関東代表から、「私塾ネット関東として今年度最初の研修になりました。各協力・後援団体のおかげで本日30名ほどのご参加をいただく会を開くことができました。今回、英語スピーキングテスト対策という事で3組5社の方々にお越しいただきました。昨年11月に東京でESAT‐Jというスピーキングテストが行われ、東京都立入試の英語では20点分このスピーキングテストを利用しました。東京都では今年度もこのスピーキングテストの利用を決定しています。周辺の県の入試に関しても、今後導入が進むのではないかという話題がでています。一方大学入試の英語でも四技能と言われて久しく、入試におけるスピーキングの重要性は高まっています。コロナ禍において学習塾を取り巻くシステムのアップグレードが加速されました。このシステムをうまく利用して、生徒の学力向上に結び付けていただきたい。今回3組5社の方々にお越しいただき、それぞれのシステムのお話をいただきます講演の後にはブレイクアウトルームで個別に話をする時間も用意しました。塾と会社さんとのマッチングができれば善いと考えています。」という挨拶があった。

続いて、KECMirizの亀田航平さんから、教育機関専用オンライン英会話チャッティー(CHATTY)の説明があった。「KECグループは40年以上奈良で学習塾を営んでいます。現在は、奈良、京都、大阪に40以上の教室を展開しています。その中で培てきたノウハウを生かして、現場のニーズに合わせたICT教育コンテンツを開発するという事を目的に立ち上げたのがKEC Mirizです。マインクラフトを使用したプログラミング教育と教育機関専用の英会話の二つのコンテンツを展開しています。」

「CHATTYは、オンライン英会話のコンテンツで、無料通話アプリZOOMを使用して英会話のレッスンをします。1レッスンは25分で、講師はフィリピン人を採用しています。言語学習において必要な要素は「発話量」と「発話の質」と「継続性」の3つです。CHATTYの特徴はこの3つを教育現場に合った形で提供できるところにあります。」「スピーキング対策教材は、英語を言語としてしっかり使えるかというところを重視して作成しています。主体性を育むこと楽しく学べることという事を重視した教材になっています。この考え方は結果重視のテスト対策のような学習とは親和性が低いと考えていたのですが、ラボ寺子屋の小泉さんから依頼があり、意見・情報を交換していくうちに短期目標としての試験の重要性、試験対策を通してのスキル習得の可能性に気がつき、実用性を損なわない形の対策講座を開発しました。」「EZ‐Talkは都立ESAT‐J対応スピーキングテスト対策教材で、ESAT-Jの対策をベースにスピーキングテストに共通して必要なスキルを身につけられるものでカリキュラムを組んでいます。このプログラムの開発でこだわったのは、受講する生徒が本当に必要なスキルが得られる構成になっているのかというところと、楽しんで受講してもらえるのかという点です。実用性、継続性にプラスして、テストの結果につながるのかというところを重視しました」

次に、阿部塾の阿部一彦さん、英語スクールアーニーの中澤理さんからクマニーオンラインレッスンについての説明があった。

「阿部塾は神奈川の川崎市で教室を開いている塾です。神奈川なので、入試のスピーキング対策というよりもメインは英検の対策に困っていて、オンライン英会話のアプリを開発しました。Kummanie online lessonは英検に合格するようにという思いで開発したアプリで、年間44回(約週1回、20分)のレッスンがあります。事前に予習をしてくることが必要です。講師は、ネイティブスピーカーで普段は日本の英会話教室で講師をしている方にお願いしています。これまで、英検対策が大変だったこと、入試でも英検を持っていることがポイントに加算されるという事が増えてきたことに加え、指導要領の改訂で英語の教科書の内容が急激に難しくなったというのが開発のきっかけです。」という阿部さんの説明の後、英語スクールアーニーの中澤さんから「大学を出て中澤塾を開いてから30年近くこの業界で活動しています。英文科の卒業で、英語教育に力を入れているので、英語スクールも併設することにしました。ネイティブの外国人講師を使っての英会話スクールと塾をやりながらこれまで英語教育に携わってきました。」「英語スクールアーニーは下は3歳から上は60歳以上の方々が学んでいる英語スクールで、幼稚園や小・中学校での授業や、高校のカリキュラム作成のお手伝い、ALTの派遣なども行っています。」「今の難しくなったと言われる学校の英語(教科書)は、本来の英語の習得法に近い考え方ができるので、むしろ歓迎していて、前向きにとらえています。」「塾などでの英語はたくさん文章を覚えたり、単語を覚えたりと数を積み上げることで力をつける手法です。これは英語と日本語を使って英語を解いているだけの状態と言えます。本来の英語教育(英会話)では、英語を聞いて英語で理解しないといけないのです。英語を日本語に置き換えるのは最後の段階ですることです。とはいえ、限られた塾の時間の中で英語にそれほどの時間を充てられないので、限られた時間の中で合理的にたくさん時間を充てたのと同じ結果を得られるようなカリキュラムや手法を作ることがベストではないかと考えました。英語を聞いて英語で理解する、英語でイメージするという考え方が根幹にあれば、今の英語学習の流れがスムースになるし、頭の中の整理が付けやすくなるのではないでしょうか」という話があった。

続いて、AIeadの窪田優希さん、育伸社の吉田康孝さんにお話をうかがった「ESAT‐J対策とSTE」「AIead株式会社は、英語スピーキング評価AIのAPI提供と英語スピーキングテストの販売という2つの事業を行っています。」「ESAT‐Jの平均スコアが、都立入試で採用されることが決まってから6.8ポイントも上昇しています。これは、きちんと対策をしてきた層が受験したからだと考えられます。これからきちんと対策をしていかないと、対策をしてきた生徒に差をつけられてしまうということです。今年度のESAT‐Jの日程は11月26日で、直前に定期テストがあったり学校行事があったりと生徒にとって忙しい日程なので、夏休みくらいから対策を始めることをお勧めします。次年度以降もESAT‐Jを利用した入試は続くだろうと考えられ、中1・中2にも検査が行われることが決まっています(R10まではスケジュールされている)ので、きちんとした対策を取っておいた方が良いと考えられます。」「STEは学習塾向けESAT‐J対策教材です。ESAT‐Jの問題や採点基準に準拠している、本番形式で受検をすることができる、WEBブラウザでのオンライン受検、AIと人間のダブル採点によって高品質な採点を実現できるという特徴があります。また、育伸社のSTE攻略テキストとセットでSTE攻略講座を設定することができます。本番と同様の採点ができるWEBテストなので、前日、当日の予行練習に使えてよかったなど導入した塾からは好評をいただいています」「スピーキングテスト対策は、昨年は実施されることが確定したのが遅かったため、9,10月になってから講座を組む塾が多かったが、今年は夏休みの講座に組み込んで対策をする塾も増えてきています。各パート5回分の演習が可能なうえ、今年から攻略の例題ページも増やしました。また、巻末にプレテストも用意されています。」

最後に東京私塾協同組合鈴木理事長から、東京の組合でも昨年対策の研修を行ったが、今回私塾ネット関東さんが、他団体の方々もお呼びして一緒に研修を行えたのが良かった。今後も団体を横断して協力をしていけるよいという締めのお言葉をいただき、研修会を終了した。この後、ブレイクアウトルームを利用して各部屋に分かれての分科会が行われた。