表紙の花こ・と・ば(77号)

デイジー(キク科ヒナギク属・地中海沿岸原産) 

和名の雛菊は小さくて可愛らしい菊なので「雛」の冠がついたもの。開花期が12月から5月までと長いので、「延命菊」「長命菊」とも呼ばれる。原産地では多年草とされているが、日本では夏の暑さに耐えられず枯死してしまうので、一年草に分類される。日本での花言葉は「美人」「純潔」「希望」「平和」とまことに穏やかで幸ある言葉が並ぶ。いずれもこの花の可憐さからイメージされるものであろう。

俳句では春の季語に置かれるが、本来の「菊」は代表的な秋の季語で関連語も多い。高浜虚子の句に「踏みて直ぐデイジーの花起き上がる」があるところをみると、百年以前にはすでに庭先に植えられるような、鑑賞花として親しまれていたのであろう。

ところでデイジー(daisy)の語源は「day’s eye」なのだそうだ。「日の目」をみると言う慣用句があるが、まさかこの花が語源ではあるまい。日の光を浴びて黄色い花芯が輝く様から命名されたのではないだろうか。いずれにしろ「希望」と「平和」を象徴する花ではある。(志厚)