コロナ禍による社会生活の激変化が、子どもたちの学びや生き方にどんな影響を与えるか懸念されている。子どもたちの心が内向きになり、直接体験を避ける傾向が指摘されているが、そのようにしているのは、実は私たち大人ではないだろうか。
多度津教室小6野外学習レポート
今学習している奈良・平安時代の歴史に関して、今回は「弘法大師空海」をテーマに、空海ゆかりの地善通寺を街歩きすることにした。クラス外からオープン参加として5名(小5、6年4名+保護者1名)の飛び入りがあった。1月前から計画を立て楽しみしていた子どもたちは集合時間の9時10分前には全員集合、定刻にJR善通寺駅を出発。
途中、偕行社(旧陸軍将校クラブ)などの歴史的建物を何か所か見ながら総本山善通寺を目指す。事前に、「街歩きの面白さは、当たり前の見慣れた風景からどんな面白さを発見するかだ」ということを話していたので、子どもたちはキョロキョロ、ウロウロ、ワイワイ、1.3㎞の道のりを30分以上かけて総本山善通寺に到着した。境内では、1300年前の大楠の圧倒的な姿に興奮したり、本堂・大師堂で暗記していた般若心経をとなえたり、名物「かたパン」を買ったり(昔ながらの「駄菓子屋」の雰囲気が良い)、宿坊では無料の本を何冊も頂いたりなどした。
軍事都市としての善通寺の町割りを確かめながら次の自衛隊駐屯地に向かった。戦車や装甲車、戦闘機などを展示している旧師団司令部跡はコロナ禍で見学者がほとんどなかった。小学生集団の突然の訪問に警備の自衛官は驚きながらも丁寧に対応してくれ、最後は記念写真にも入ってくれた。
次の護国神社は建物と社叢とのバランスが独特の雰囲気を感じさせ、子どもたちも先の善通寺の境内とは違った何かを感じとったようだった。次はキリスト教の四国学院大学を予定していたが、時間が切迫していたので次の機会にすることにした。
最後の目的地善通寺市民会館では地元の古墳から発掘された石棺を見た。これまでに4回訪れた県内の古墳群を思い出してみな熱心に見入っていた。2時間半の駆け足街歩きだったが子どもたちの知的好奇心がドンドン広まり深まっていくのを感じた。
この1年で子どもたちは「オンライン」などのITを活用した新しい学びを得た。それと同時に「リアル」での学びは決して奪われるべきではなく、テレワークにもう慣れてしまった大人たちよりも子どもたちが「リアル」から得るものは非常に大きい、と考える。