理事長コラム(70号)

仲野十和田(ナカジュク・東京都)

2020年4月19日に予定していた、私塾ネット20周年記念大会は延期となりました。10周年に引き続き節目の年に2度目の延期です。10周年は2011年の東日本大震災の直後で、日本全体が自粛ムードとなり中止を決定しましたが、それでも集まることは可能だったので、そのまま会場(浅草ビューホテル)を使って、東北に何ができるかを考える会を行いました。しかし、今回は集まることすら許される状態ではなく、さらに日本全体を巻き込む禍いになりました。

僭越ながら、この間の自塾の行動を振り返ってみたいと思います。まずは、3月初旬の自粛要請から大手の塾が大体2週間を目処に、休校する塾がでました。この頃は、マスクが品薄となり、知り合いの薬局に頼んでも、1箱手に入れるのがやっとでしたが、たまたま1000枚単位(高額でした)で手に入れることができ、花粉で悩んでいるご家庭を中心に無料配布を企画したところ、即座に申し込みがあり、とても喜んでいただきました。その後、4月8日からの緊急事態宣言を受けて、当方もゴールデンウイークまでの予定で通塾を一切なしにし、リモート授業に切り替えました。教室の広さからしてライブ授業も可能でしたが、どこまで続くかわからい状態だったので、生徒の安全とリモートの経験値を上げておきたいという思いがありました。スタッフには「やれることは全てやって欲しい」と依頼しました。ZOOMによる双方向授業で、家庭の通信回線の問題から始まり、授業の管理など課題はありましたが、多少の不手際もご家庭が温かく見守ってくれたと思います。4月の後半になると、ある自営業のご家庭で収入がなくなり、子供を塾に行かせられないという連絡があり、急遽、「月謝の減免」対策を行いました。この危機に、将来ある子供たちの教育の機会を奪いたくなかったからです。ご家庭には私がZOOMなどで面接をし、無条件に申し出のパーセントの減免(とりあえず2ヶ月分)を行いました。また、「ナカジュクの窓」と称し、4月5月で計4回のZOOM保護者会を行いました。どちらも普段お話ができないご家庭と直接繋がることができ、貴重な体験をさせていただきました。

GWには小学4年〜中3まで、教科書別のZOOM授業を無料で行いました。有志が1つの教室に集まり部屋に分かれて発信しましたが、時間割りを組んだり、教科書を入手したりするなど、結構大変でした。私も6日間続けて授業を行ないましたが、ZOOMの利便性と問題点を知ることができたこと、そして、画面に向かい続けることがとても疲れることであることも体験し、その後スタッフを労うことにも繋がったので、この経験はとても大きかったと思います。

GW明けも、緊急事態宣言が続いたので、引き続き教科書別リモート授業と午後からは中3生対象の受験対策授業(有料)を行ったところ、予想以上の申し込みがありました。このような時の提案でしたので、少々躊躇はしましたが、逆にご家庭への安心感に繋がったようです。5月からは毎朝20分、「ZOOM朝礼」も始めました。冒頭に5分ほど我々が話をし、それについて2人1組のブレイクルームに分かれ、話ついての感想や、その日の行動予定などについて語らいをしてもらいます。もちろん私たちも交わりますが、小学生と高校生が一緒になるなど、塾ならではの貴重な体験ができたと思います。また、外部のゲストも容易に呼ぶことができ、充実した内容になったと思います。

4月に予定していた中3生対象の「入試説明会」もZOOMで行いましたが、会場準備などもいらないので、2回に分けてできたので、例年より参加率が高かったです。また、毎年5月に行われるはずの、サツマイモの苗植え会は今年は中止にせざるを負えず、10月の「収穫祭」で生徒たちの喜ぶ顔を想像しながら、スタッフ有志で行いました。

まだ、終息はしていないので、今後どうなっていくかわかりませんが、今こそ子供たちには、自分で判断し動く力を付けて欲しいと思っています。そのために、私たちがどう動くか?が問われているような気がします。私はこの間ほとんど引きこもり状態で、晴耕雨読の状態でしたが、いろいろなことが考えられた貴重な時間でした。

最後になりましが、このような状況の中、規約に合わせてあと2年、理事長職を継続させていただくことになりました。まだ、身動きは取れませんが、一生懸命職務を遂行させていただきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。