ちぎり絵歳時記⑱(72号)

コロナ下の令和2年、どれほど多くの「コロナ句」が詠まれたことであろうか。明けて令和3年の干支は丑、はからずも小生の干支である。ちょうど干支を6まわりしたことになる。あと一まわり、12年後に果たしてこの世にいるかは少々心もとない。なにしろ昨年は兄と姉を亡くし、五人兄弟が次兄と自分の二人になった。死が身近にあることを痛感している。

姉が亡くなったのは11月25日だが、小生の誕生日である11月11日に合わせて、姉から贈物が届いた。中身は木目込み細工の額絵だった。故郷の愛媛では宇和島の闘牛が有名で、ここの横綱牛をモチーフとした手作りの作品であった。丑年の弟を思ってのものであろう。8月から入院加療中であることは知っていたので、この贈物を手にとったとき、これはもしや?と一抹の思いがよぎった。そして2週間後姉は逝った。そして今、牛の額絵は遺品として自室を飾っている。(志)