ちぎり絵歳時記⑯(70号)

 「苺」。草かんむりに母を合わせてイチゴ。なにやら曰くありげだが、漢字の成り立ちには諸説あるようだ。母の漢字は乳房を表すことから、「乳首のような実のなる草」という解釈もあるらしい。この説が馴染み深い。というのは現在我々が食している苺はオランダイチゴといって、江戸期に渡来したものが原種。それ以前の苺はいわゆる野イチゴというやつで、これだと乳首と見えなくもない。さて山ほどある草かんむりの漢字から身近なものを挙げてみよう。茸(キノコ)、なるほど耳の形。蕗(フキ)路傍に生えてますね。薬(クスリ)、楽になる草ね。面白いですね。で、蕾(ツボミ)は?草かんむりに合わせたのが雷。開花前の固いツボミに雷光と雷鳴が、それが開花の合図てことかな。植物と雷の取り合わせとしては「稲妻」がよく知られるところ。稲穂の結実期には欠かせぬ雨をもたらすのが雷ということでしょうか。稲の穂先が稲光の形に似ているとの説も。(志)