表紙の花こ・と・ば(84号)

ビオラ
(スミレ科・原産地ヨーロッパ)

和名の三色菫(サンシキスミレ)は、英名のビオラ・トリコロール(Viola tricolor)の直訳だそうな。三色=トリコロール、菫=ビオラということである。ビオラはヨーロッパの野生「スミレ」から改良された小輪多花性種で、花弁がやや小ぶりで群生する種だそうである。その名称の語源は、原種スミレの基準色が紫(Violet)に由来するそうで、紫をスミレ色と呼称する和名も根源はここにあるようだ。ちなみに紫の語源はすみれの花が「群れて」「咲く」、「ムレサキ」との説があるが、これもまた面白い。また、日本では蝶が舞う姿に似ていることから「遊蝶花(ゆうちょうか)」とも呼ばれていたようだ。まことにその呼称にまつわる謂れは優美にして趣深い。

ビオラと言えば楽器のビオラがピントきた。なにか関連があるのではとググってみるとピンポン。諸説ありだが、その一つに花と楽器のビオラの語源をたどるとラテン語のViolaに至るとある。

楽器のビオラは弦楽器属のバイオリン科で仲間にチェロ、コントラバスがある。ところでこれら楽器の中国語名が面白い。バイオリンは小提琴、ビオラは中提琴そしてチェロは大提琴。この三者の差は名の通り形の大きさと音域の高低とのこと。ではコントラバスは何という。その名は、低音大提琴、なるほど納得である。(志厚)