学習塾よろず相談事例集(75号)

私塾ネットセンター 広報部 

[質問002]皆さまの教場では、どのようにお月謝を集めておられますか。月謝袋、銀行振り込み等ありますが、こうしたら良かったという体験をご披露ください。また、それに伴うトラブル例えば滞納など困っていること、またその対策で改善した経験なども教えていただければ、皆様の役に立つと思われます。お知恵を拝借して、安価で安全な方法を提示できればお役にたつと思います。是非、積極的に書き込んでいただければ幸甚です。

[回答002]前回の続きです。前回は、お月謝の集め方について報告をいたしました。

補足:月謝袋などでは、その月の前月後半にお支払いしていただきますが、代行業者などでは技術的に、その月の前半または後半に引き落とされることが多いようです。技術的なことではなく、はっきりした考えを持って後納される方もいらっしゃいます。「一部の学習塾で7月から転塾をしたいのに5月末(もっと前もある)まで手続きをしないと間に合わないという事例がある。『入塾はすぐできます。退塾の場合費用は振替となり、1か月以上お待ちください。納入された費用は返金できません』はおかしい。学習塾の都合を口座振替のシステムと言う理由で押し付けている気がしてならなかった。従って講習の申し込みも講習開始1か月以上前が締切りとなることもある。お客様本位で考えると後納にしたかった。後納にすることにより、コース変更への対応や講習等の申込期日も遅らせることができる。入金が遅くなることが大きな問題だが、最終的には入ってくるものと考えている。」

次には、実際に滞納・未納が発生した場合の対処の仕方の例を挙げます。( )内は、筆者。

例1:口座振替にして、以前は滞納などのトラブルが頻発していましたが、入塾時の契約書に学費滞納の場合の出席停止などを文言として入れたので、それからは滞納は起こっていません。(標準的な対策。)

例2:未納者に対しては、本部から通知を送り、その後反応がない場合は、教室長から電話を入れさせています。(中堅規模の学習塾です。ここは、保護者の便宜をはかるため、キャッシュカードでの支払いも対応しているようですが、手数料が高いとか。)

例3:収納ビジネスサービス株式会社を利用。金融機関から毎月自動引き落とし。金融機関は自由に選べる。月謝袋の利用を希望する方もごくわずかおり、それはそれで対応している。(一般的である。)
家庭の事情[父親が働けなくなった]等で、未納者はいます。その場合はご家庭と相談して、納入時期をずらす、1回分の納入を分割するなど対応しています。従って、卒塾しても支払いが続いているご家庭もあります。未納なのに無視してくるご家庭には「内容証明」を送りつけます。今まではそれで何とかなっています。(小規模塾での対応。立派ですね。)

例4:実は、ある教場で前号のこの相談集を読んだ後に、授業料の未収が発生したそうです。「幸い件数は1件で少額の費用でしたので、無事回収を終えることができました。僭越ながら、今回の回収の流れと痛感したことを共有させていただきます。

1.当校の授業料回収スケジュール

当校の授業料納入方法は、「口座振替」です。毎月8日前後に当月分の売上が確定となります。確定後、当月16日以降に「口座振替の案内」をお知らせメールもしくはLINE会員用連絡アカウントにて送信します。当校では「会員サイト」に毎月の口座振替予定が掲載されていますので、個人別IDとパスワードにて確認していただくこととなります。案内送信後、当月27日[金融機関が休業日の場合は翌営業日]に引き落としとなります。
その授業料が引き落とされているかどうかが判明するのは、翌月の10日以降に判明します。大半は引き落としが行われ、5日後の15日に諸経費を差し引いて入金されることとなります。ちなみに、引き落とされていないケースが生じるのは、年に5件以下です。未収が起こるのは稀であると言えます。

2.今回の回収の流れ

8月12日に、郵送によって7月分の授業料引き落とし結果が判明しました。すると、1件だけ珍しく授業料が引き落とされていなかったことが判明しました。引き落としができなかった保護者の方とは普段、メールでやり取りをしていましたので、いつものようにメールにて翌日13日までに振り込むよう、金額と振込先口座、お客様による振込手数料を記載してお伝えしました。

翌日13日に金融機関に記帳に行きましたが、どうしたことか、振込されていませんでした。当校ではその日のうちに請求書を作成しました。金額と振込先口座、お客様による振込手数料負担、それから、「期日までに振り込まないと、授業への参加を禁ずる」旨の文言を添えました。期日を8月20日までとし、普通郵便で郵送しました。書面で送付したのが功を奏したのか、最終的には期限よりも早い18日に満額入金されていることを確認することができました。

3.終わりに:今回の例から改めて確認したこと

今回の未収の件は、金額が少額でありましたが、回収にかかった期間が1週間弱でした。1週間弱は、当方としては長くかかった方だと反省しております。最初にメールで案内したのがエラーだったと思っています。最初から請求書を作成して発送すれば、日数はもう少し短縮したかもしれません。今後は、最初から請求書を作成して発送することとします。
今回改めて、未収が判明したら確実に回収するべく迅速に動くことが大事だということを痛感しました。何よりも、日頃からご家庭との信頼関係を築いていくことが、未収を防ぐ最善策であることは言うまでもありません。」(全国展開の学習塾の分校長さんから)

滞納の挙句やめてしまい、踏み倒されたケースも結構お聞きします。支払督促申立まではできず、「しかたがない」が現実でしょう。