表紙の花こ・と・ば(79号)

コスモス(キク科コスモス属 原産地メキシコ) 

コスモスの名の由来はギリシャ語の「Kosmos」で「美しさ」「秩序」「調和」を意味する。和名の秋桜の名の通り、日本では秋の野花を代表するものだ。桜の字があてられるのはピンクの花弁からくる印象だろう。だが写真のごとく花弁の色は様々で、キバナコスモス、イエローキャンパス、チョコレートコスモスなどがある。

コスモスといえば我々昭和世代がピントくるのが、山口百恵の歌う「秋桜」だろう。1972年10月のリリースで、さだまさし作詞作曲のヒット作だ。この時山口百恵はわずか18歳で、歌詞のモチーフである嫁ぐ娘の母親への感情など、まだまだ実感がわかなかったであろう。山口は結婚後に「ようやく歌詞の意味が分かりました」とさだまさしに伝えたというエピソードが残っている。この曲で山口はレコード大賞歌唱賞を、さだは西条八十賞を受賞した。

逸話によればこの曲は、最初は「小春日」というタイトルだったそうだ。レコード製作時に名プロデューサー酒井正利の提案で「秋桜」に変更になったらしい。歌詞の冒頭に「薄紅の秋桜が秋の日に…」とあり後半のサビの部分で「こんな小春日和の穏やかな日…」とある。原曲の「小春日」ではこれほど秋桜=コスモスの名がもてはやされることはなかったかもしれない。ちなみに同年1972年に、もう一曲コスモスをタイトルにおくヒット曲がある。兄弟デュオ狩人の歌った「コスモス街道」である。図らずも1972年、昭和47年はコスモスが秋の野花として市民権を高めた年となったのである。(志厚)