[2025年12月7日(日)]
東京 人間教育渡辺塾 渡辺浩
¦ AIの時代における教育の変化と塾の役割
白井先生は講演の冒頭で、現代の教育費の動向について触れ、教育費が頭打ちになる中で新しい教育サービスの形が模索されていると説明しました。特に「ウアト」という英会話学校の例を挙げ、アニメを活用した英語学習など、教育とエンターテイメントを融合させた新しいアプローチが登場していると紹介しました。また、AIの登場により情報の価値が低下する中で、体験や対人的な感動など「コト消費」に近い教育サービスの重要性が増していると指摘しました。大手塾も教育サービスを「コト消費」に近づける動きを見せており、教育費以外のポケット(祖父母からの支出など)からも収入を得る戦略を取っていると説明しました。
¦ AIと人間の教師の役割分担
白井先生は、AIが担う役割と人間の教師が担うべき役割の違いについて説明しました。AIは社会学的な知識や情報を提供することが得意である一方、人間の教師は人文学的な視点から個々の生徒の物語や経験に寄り添う役割を担うべきだと主張しました。また、AIの活用方法として、「壁打ち相手」としての利用を推奨し、生徒が自分の考えを説明し、それをAIが評価するという使い方が効果的だと説明しました。特に「アクティブリコール」や「自己説明法」とAIを組み合わせることで、生徒の学習効果を高められると述べました。AIを単なる「答えを知るツール」ではなく、思考の整理や解像度を上げるツールとして活用するリテラシーを育てることの重要性も強調しました。
¦ 問いを立てる力と評価の共有
白井先生は、AIの時代において「問いを立てる力」の重要性について説明しました。情報がどこでも手に入る時代において、いい先生の定義は「いい問いができる先生」と「問いの力を育てられる先生」であると主張しました。また、評価軸を生徒や保護者と共有することの重要性を強調し、ルーブリック評価の活用を提案しました。ルーブリックは単なる評価ツールではなく、生徒と先生が目標を共有し、成長の過程を可視化するためのツールであると説明しました。これにより、成績だけでなく成長のストーリーを保護者や生徒と共有できるようになると述べました。
¦ AIの活用と塾の未来予想図
白井先生は講演の最後に、教育の民主化について触れ、秘伝のタレではなく観点を共有化し、家庭と塾で成長のストーリーを見える化する教育の重要性を強調しました。未来の塾は設計者であり物語の著者になるべきだと主張し、AIの時代においても、目の前の人を育てる小さな物語を作る役割が教師にあると締めくくりました。
¦ AIの効果的な活用方法
有志先生は、AIの効果的な活用方法について講演しました。特にプロンプト(AIへの指示)の重要性を強調し、イメージを言語化して具体的に伝えることで、より良い結果が得られると説明しました。また、AIを使いこなすためには、基礎となる知識が必要であり、知識がある人がAIを使うことでより効率的に作業できると主張しました。AIの種類については、Googleのジェミニが最も使いやすく、Googleの巨大なデータ量と資金力を背景に今後も発展していくだろうと予測しました。
¦ 塾でのAI活用事例
有志先生は、塾でのAI活用の具体例として、コンテンツ制作、面談内容の要約、事業報告書作成、学習進捗会議、講師評価などを挙げました。特に講師評価については、オンライン授業の録画を自動的に文字起こしし、AIが評価して点数化するシステムを導入していると説明しました。この評価軸こそが塾のアイデンティティであり、人間が作るべき部分だと強調しました。また、AIを答えを知るツールではなく、思考の整理や判断力を育てるツールとして活用することの重要性も述べました。
¦ 対面とオンラインのハイブリッド型塾運営
有志先生は、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド型の塾運営モデルを提案しました。オンライン授業のメリットとして、地理的制限がなくなること、授業や面談の記録が容易になること、講師採用が容易になることなどを挙げました。特に講師採用については、オンラインであれば採用率3%以下でも十分な人材を確保できると説明しました。対面でやるべきことは実習など、オンラインでやるべきことは授業や面談などと分け、最小人数での運営やノウハウの集約が可能になると主張しました。また、新しい授業形態として、スタジオからライブ配信する授業を各教室で受講し、現場では管理講師が質問対応するモデルも提案しました。
¦ SNSを活用したマーケティング
有志先生は、新規開業した塾がお客さんを集めるためにはSNSが重要だと主張しました。特にYouTubeとXを中心に活用し、ショート動画を作れば5つのプラットフォームで展開できると説明しました。また、Xでの発信では具体的なアドバイスを書くことで、フォロワーを集めやすいと述べました。SNSでの発信はオンライン授業と組み合わせることで効果を発揮し、対面の塾は最小人数で運営できるようになると主張しました。
¦ 塾業界の課題と未来
有志先生は、塾業界の課題として講師の確保の難しさを挙げました。飲食店のアルバイト時給が上昇する中、個別指導塾の講師を集めることが困難になっていると指摘しました。この課題に対応するため、AIやオンラインを活用して少ない人数で運用できるモデルの構築が重要だと主張しました。また、AIを実用的に活用するためにはプログラミングの技術が必要であり、エンジニアとの協力が重要だと述べました。
¦ 学習塾における空間設計の重要性
香月先生は、学習塾における空間設計の重要性について講演しました。AIの時代においても、子どもたちのやる気を引き出し、継続して通わせるためには、適切な空間設計が重要だと主張しました。特に「人」と「空間」の両方が重要であり、AIが学習の効率化を担う一方で、子どもたちが勉強を継続するためには、先生の声かけや適切な空間が必要だと説明しました。また、スターバックスの空間設計を参考に、心理的安全性を確保し、目的に合わせた席を用意することの重要性を強調しました。
¦ 9つの空間設計のポイント
香月先生は、学習塾の空間設計における9つのポイントを紹介しました。1つ目は入口の設計で、ホッとする空間を作ること。2つ目は視線の抜け感で、高いブースを避け、全体が見渡せるようにすること。3つ目は適度な生活音で、適度な声があった方が集中しやすいこと。4つ目は適度な明るさで、700〜1000ルクスが勉強に適していること。5つ目は洗練された色と素材で、木材などの自然素材を使うこと。6つ目は適度な囲まれ感で、完全な個室ではなく半分開いた空間が良いこと。7つ目は適度な他者との距離感。8つ目は背中を通らない導線設計。9つ目は清潔感と安心安全の確保です。これらのポイントを意識することで、子どもたちが心地よく勉強できる環境を作れると説明しました。
¦ 空間設計の具体例
香月先生は、空間設計の具体例として、ある塾の改装事例を紹介しました。入口に質問ブースを置いていた配置を変更し、入ってきたら全体が見渡せるレイアウトに変えたことで、生徒の動きや先生の指導が変わり、業績が向上したと説明しました。また、細かな工夫として、段ボールや不要な物を置かないこと、トイレを清潔に保つこと、本棚を整理すること、机の幅や奥行きを適切にすること、椅子に取っ手をつけること、自習席にテープを貼って区切ることなどを紹介しました。さらに、掲示物の配置も目的に合わせて工夫することで、効果的な情報発信ができると述べました。

