Studyplus for Schoolを導入して(スタプラの効果的な使い方)

柳田浩靖
(日米文化学院)

「Studyplus for School(以下スタプラ)」を導入して約1年半、当塾の高校部の運用は大きく変わりました。

今回、「スタプラについて書いて欲しい」とのご依頼を受け、5月に「Studyplus for Schoolアワード」を受賞した際の記念講演を文字で起こしたものを共有させて頂きます。お役に立てれば幸いです。以下、講演内容になります。

当塾は1982年に父が創業し、私が2代目を務めています。私が代表に就任した時、経営状態は芳しくなく生徒数は50人程度でした。そこでまずは生徒数250人を目標にして経営を続けたところ、10年で超えることができ、次に300人の壁にぶつかりましたが、2019年には突破できました。

一方で高校生の人数が少し減ってきていたことに危機感を感じていたこともあり、スタプラを導入しました。

もともと、各方面から「スタプラは良い」という話は聞いていました。しかし私は「普段からコミュニケーションを取っているし、生徒にスマートフォンをあまり使わせたくない」と思い、正直言って必要性をほとんど感じていませんでした。

そんな中で導入を決めた背景は、創業から1教場主義を掲げていたことが挙げられます。1教場を貫きながら生徒数を増やし、増収増益を果たすためには垂直展開が必要でした。そこで、高等部を開始したのが、自分が塾に関わってから4年後のことです。基本的には中学部出身生が中心で、いかに継続率を上げて、長期間続けてもらうかがポイントでした。

当塾では先代から「戯れに人は雇わじ」という教えがあり、私と身内2人以外は学生講師主体で運営しています。講師が塾のことをよく理解しているかどうかが、塾の運営に非常に影響します。そのため、現在20人以上の学生講師がいますが、すべて元教え子を採用しています。そういった意味では、高校部は講師の養成機関として機能しています。

また、当塾の特徴は地元で気安く(来易く)勉強できることで、自習室の充実は常に意識しています。高校3年生には、専用の特別部屋も用意していました。価格も1教科1万円くらいの安価で、地元の塾としては、圧倒的な実績も出ていたので、特に運営に関しては問題もありませんでした。

ただ、ここ数年、高校3年生になってから他塾や予備校に生徒が流出するケースが増加。コロナの影響もあり、人数が減っていきました。

人数が減っていった理由の仮説として考えたのが、全教科に対応できないということです。アットウィルや学びエイドなどの映像授業を導入していたものの、初めからほかの予備校への入学を考えている生徒には響きません。

また、当時は「宿題をチェックしてほしい」と言われても、大学に行くならそんなものは自分でやるべきだと思っていました。しかし、その考えは時代に合っていないようでした。そこで、「もしかすると、生徒は管理されたがっているのではないか?」と考え、生徒の学習を管理するという意味で、受験コンパスを導入し、運用してみましたが、上手くいきませんでした。生徒は管理されたがっているというわけではなく、こちらが言ってもやらないということがわかりました。

次に、河合塾と併塾していた卒業生講師に話しを聞いたところ、「チューターがいるのが良いのでは?」という意見が出ました。普段から悩みや相談できる人がいる環境を作ろうと思い、チューター制度を導入し、LINEを使って連絡したり、悩み面談をしたりといった業務をお願いしました。

しかしチューター側が「自分たちの存在意義がわからないので、辞めます」と言い出しました。というのも、当塾の良さは中学時代に教わっていた講師と高校生になってからも話すことができることで、生徒はわざわざチューターに質問や相談をしないというのです。

こういった状況の中、城南進学研究社COOの千島さんが「スタプラを導入したら、生徒の食いつきが良い」と話しているのを聞きました。そのお話しの中で自分に刺さったキーワードが、「超多頻度コミュニケーション」でした。生徒が欲しているのは、管理ではなくコミュニケーションだと気づかされたのです。

また、スタプラなら、チューターも「いいね」を押したりコメントを書いたりと仕事があり、存在意義も見出せます。そこで、スタプラの導入を決定しました。

当塾は費用の安さがウリの一つだったため、スタプラを導入することによる値上げに悩みました。しかし、保護者にとって大切なことは金額ではなく、子どもが志望校に合格することです。効果と費用の折り合いをどうつけるか考え、思いついたのが「スタプラはeトレをセットにする」という方法です。

eトレは定期テスト対策にもなりますし、スタプラを使えば進捗状況の管理もできます。また、グループ面談の際にeトレによる「効果測定」も行うことにし、3点セットで5,000円値上げになると説明会を行ったところ、保護者の方々にも十分にご納得いただけました。

スタプラの導入後、その管理はグループ面談担当のチューターに任せました。また、導入にあわせて新たに4人採用して、現在は専門的に業務を担当してもらっています。

チューターを研修するに際して、教育理念など運営の根幹については話せるものの、具体的な業務についてはどのように指導していくべきかが、運用にあたっての悩みでした。そこで千葉学習塾協同組合にも加入されているテラコヤイッキューの渡邉靖子先生にお声がけし、研修をお願いしました。現場でスタプラの使い方に精通した先生からの研修は本当に助かりました。

次に検討したのが、チューターの勤怠管理についてです。スタプラの管理を任せるとすると、チューターが「いいね」を押す時間や内容のチェック、メッセージを送る時間をどう管理するかが問題になります。そこで、チューターにもStudyplusを使って、実際にStudyplusをチェックした記録や面談記録をつけてもらい、それをアナリティクスで管理するようにしました。そうすることで、生徒が「記録が面倒」と思う気持ちなどがわかるだけでなく、各機能の使い方も実感できています。

また、ラボ寺子屋の小泉先生と高校講座の運用などについて、月1回面談をさせていただくことにしました。毎回、非常に濃い学びがあり、チューターも参加して勉強しています。面談の際には、各自のアナリティクスを分析し、生徒同士で学習方法の改善作業もさせています。お互いの情報共有もさせて、同じような大学を目指している生徒同士で話す中で「こういう情報があったから、この大学に合格できた」という状況が生まれました。

結果的に、スタプラを導入して退塾者が減少しました。高校3年生への進級タイミングで退塾した生徒は2人いますが、これは他塾に移ったのではなく別の私的な理由です。

また、大学合格実績が大きく向上しました。令和3年度は国公立大学への合格者が増え、自塾のシステムだけで東京大学や一橋大学などに合格者を出せたことで大きな自信につながりました。

アナリティクスを振り返ると、最も記録を入力した生徒は東京大学に、2位の生徒は一橋大学に、4位の生徒は東京外国語大学に受かりました。記入率が高い生徒が結果を出したことで、生徒に大きな影響を与えていることがわかります。

当塾では最近、ブロードバンド予備校を導入しました。ほかのオンラインツールは管理が面倒でしたが、ブロードバンド予備校はシンプルでフォローもかなり手厚かったです。これから、ぜひスタプラと連携してもらえたら嬉しいです。

また、自習室を充実させるために1年がかりの改装工事をしています。さらに、今後は小学生や中学生にもスタプラを導入しようかと検討しています。

最後に、私たちがスタプラを利用する理由は、生徒達にPDCAを実践させるためです。これは社会人になってからも活用できるスキルだと思います。また、利益と結果を生み出すことが出来なければ、ICTツールを使う意味はないとも考えています。

学習塾を運営する上で自分が大切にしていることはストーリーの蓄積です。色々な方との信頼関係が構築されて行くことはもちろん、「塾をやっていて面白い!」という感覚の持てるストーリーがあることが大事だと思っています。スタプラはフットワークの軽さも持ち味だと思うので、今後も引き続きよろしくお願いします。

スタディプラス