私塾ねっと誌上句会「春夏秋冬」再開第八回

<谷村選&評>

春風や弓射る人の袖そよぎ
お遍路をバックミラーに残し過ぐ

木内恭裕(徳島県)

お遍路の句は四国ならではの春の一景。私自身も愛媛の生れ育ちなので望郷の一句である。ただし同じ四国でも、徳島と愛媛ではお遍路事情が少々異なる。徳島は密にして愛媛は疎である。

妻ありて金婚式の春の宵
デイ友またねと手を振る春夕焼け
長江勝秋(神奈川県)

長江さんご夫妻は4月22日に金婚を迎えられたそうだ。おめでとうございます。お二人で歩まれた半世紀の時間は、英数学院の歴史に重なりそしてそれは日本の学習塾の足跡そのものである。

こでまりの花房無垢の白小紋 
気動車に揺られ伊賀路は春爛漫
中村直人(神奈川県)

小手毬の表紙写真を撮られたのは中村さん、ついでに素敵な一句も添えて下さった。こでまりの小紋は清楚ながらも艶やかな装いであろうと想像する。

スーダンに銃弾の雨夏嵐
転勤に一輪挿しの藤の花
監物一男(埼玉県)

時事俳句を得意とする監物さん、今回は最新ネタのスーダンである。アフリカの地での内乱騒動だが、グローバル化の現代では、事件はまたたくまに世界を駆け巡り日本の地で五七五に詠まれる。

金婚の手をとり合いて桜坂
葉桜や新任教師襟正し
谷村志厚(千葉県)

長江さんご夫妻の金婚に贈る一句だが、実は谷村も4月8日に金婚を迎えた。掲句は自分の金婚を詠むのには照れ臭い内容だが、他の方にお贈りするのには申し分のない一句だと自画自賛する。

編集部よりお願い

次号は7月発行の春号です。 投句はお一人3句まで春の季語でお願いします。投稿は、谷村までメールでお送りください。締切は6月末日です、ふるってご投稿ください。