アシェット 尾田衣子さん
受験生にとって冬という季節は、追い込みの時期であると同時に、体調管理が難しい季節となってきます。寒さや日照不足、そして何といっても受験のプレッシャーが重なり、心身の負担がピークに達します。今回のコラムでは、受験生の冬を乗り切るために!学力を支える栄養と健康管理のポイントを紹介します。
◆冬の受験生が抱える課題
1. 冬特有のストレスと体調リスク
冬は気温の低下や空気の乾燥により、体調を崩しやすい季節です。特にインフルエンザや風邪は大敵!!これらの病気にかかると学習リズムが崩れてしまいます。また、日照不足により免疫力に最も関わるビタミンD不足も発生。そのため体力の低下や体調不良になることも問題となります。
2. 食生活の乱れ
寒い時期には、体が冷えることもあり、脂っこい食事や甘いものを好む傾向が強くなります。しかしこれらは消化器官に負担をかけてしまいます。そのため、集中力の低下や疲労感を引き起こす原因になってしまいます。
3. メンタル面での負担
冬休みの間、勉強時間が増える一方で、孤独感やプレッシャーが強まります。初めての受験であればあるほど適切なメンタルケアがないと、やる気が低下したり、自己効力感を失う可能性があるので要注意です。
◆受験生の冬を支える栄養と生活習慣
1. 栄養の基本:体調を守り学力を伸ばす食材
冬の食事は『免疫力の強化と脳の活性化』を意識しましょう。
そこで、以下の食材を取り入れることをお勧めします。
•ビタミンDを含む食品:サーモン、きのこ類(特に干ししいたけ)
→ 日照不足を補い、免疫力を向上させます。
•良質な脂質:アボカド、ナッツ類、青魚
→ DHAやEPAが脳の働きを高め、集中力をサポートします。
•鉄分を豊富に含む食品:ほうれん草、レバー、大豆
→ 貧血を予防し、疲労回復に役立ちます。
•腸内環境を整える食品:ヨーグルト、甘酒、納豆
→ 免疫力の約70%を担う腸を元気にすることで、体調管理を強化します。
2. 冬の食事例:朝・昼・夜のポイント
•朝食:「脳を起こす食事」
朝食はブドウ糖を補給し、脳を活性化させる重要な食事です。
→ 例:全粒粉パン、ゆで卵、フルーツ、ヨーグルト
•昼食:「集中力を持続させる食事」
昼食は消化が良く、エネルギーが持続するメニューを心がけましょう。
→ 例:鶏むね肉のグリル、雑穀米、温野菜
•夕食:「心を落ち着ける食事」
夜は胃に負担をかけず、リラックス効果のある食材を取り入れます。
→ 例:野菜スープ、白身魚の蒸し焼き、炊き込みご飯
◆冬に取り入れるべき生活習慣と家族のサポート
1. 睡眠を最優先に
冬は夜が長く、早寝早起きのリズムを作りやすい時期です。子供がしっかり睡眠を取れるよう、就寝2時間前にはスマホやパソコンを控えさせ、リラックスできる環境を整えましょう。
2. 勉強と運動のバランス
長時間の勉強は体を固くし、血流を悪化させます。30分の勉強ごとに5分のストレッチを取り入れるなどの習慣をつけることで(勿論ご家庭で可能な方法で◎)、集中力の持続とリフレッシュが可能です。また、学校の行き帰りは冬の日光をしっかり浴び、ビタミンDを少しでも取り入れるようにしましょう。
3. 家族の役割
受験期の家庭環境は、子供の精神的安定に直結します。親御さんがポジティブな声かけをし、食事の準備をサポートすることで、子供の安心感が増します。
例えば:
「今日は温かいスープを用意したよ!」「今日は大好きな〇〇にしたよ!」「勉強お疲れさま、休憩の間に一緒にホットココアを飲もうか」 など…
本当にちょっとした親の声掛けが子供の安心へと変わります。是非試してみて下さい。
◆受験生の冬に必要な栄養素と食材例
以下は、具体的な栄養素とそれに対応する食材をまとめた表です。
◆受験生の冬を健康で充実したものに
受験生にとって冬は辛い時期に感じられるかもしれませんが、適切な栄養と生活習慣で健康と学力を最大限に引き出すことが可能です。食事と体調管理は、勉強の土台を整える重要な要素です。親御さんや塾の先生が温かく支え、子供の努力を後押しすることで、この冬を受験成功へのステップに変えましょう!
●尾田衣子 プロフィール
料理研究家としてTV出演、料理本著書多数あり、分子栄養学アドバイザーの資格を持つ。分子栄養学の知識を応用し『栄養が成績に直結していること』を自らの子育て中に発見。現在は受験生の親子の食事を改善することで『やる気・集中力』が向上し成績UPへと導く「受験必勝フードサポーター」として活躍している。