誌上研修・エリア関東研修

2024年10月20日(日)にワイム会議室髙田馬場に於きまして、私塾ネット関東秋の研修会「映像授業&オンライン授業可能性『理社の不養生』というテーマで行われました。当日は、株式会社学びエイド様より、取締役平林様と学びエイド鉄人講師の佐藤一郎先生。また、RIKABESQUE様より、田中龍之介先生をお招きして、オンライン授業の活用方法と理科・社会の指導方針、考えかたについて、ご教授戴きました。

①社会科 株式会社学びエイド 取締役平林様 鉄人講師佐藤一郎先生

「社会科」という科目は、暗記科目と言われている。「暗記」の部分は否定できないが、「言葉」を覚えるだけでは断片的な理解になる。授業の工夫としては、歴史を教える際は、「言葉」は生き物として、臨場感とインパクトを持って伝えることにより、生徒に興味を持たせるようにする。また、試験対策では、資料の比較・検討、図、グラフ等の類推する問題の授業について、知識が最低限、必要であるため、身近に資料集、地図帳等の視覚教材を置くことにより、言葉だけではなく、視覚資料を活用して、理解度を深めていくことが効率的な授業になる。「地理」の授業方法は、資料やグラフなどを用いて、多角的に比較し、考える授業を工夫して行う。また、世界地理については、環境問題、国際関係、日本の農家等を「世界の中の日本」と紐づけして、生徒に興味持たせる。「公民」は、「地理」と同じような教授法と「公民」独自の「ルールを守る=人として基本的な態度」と「世界のつながり」等を多面的、時事的に教えることで生徒に身近な問題として、興味を持たせ、考えさせる指導が必要である。ただし、直ぐに実践することよりも、まずは、生徒に教科書を読ませ、知識を入れながら理解させる工夫が必要である。
大学受験の「歴史総合」の対策では、「日本史探求」に関わる「世界史分野」において、19世紀以降の世界との関りについて深く勉強する必要がある。例えば、日清戦争、日露戦争、二つの世界大戦など、日本と世界(列強国)との関係について、勉強する必要がある。日本と世界をタテ(各国史)で考えるのではなく、ヨコ(各国の繋がり)軸で、比較していくと対策が行いやすい。
授業全体の工夫は、全ての時間では、授業では生徒が飽きることもあるので、ネタ・雑談を入れて、授業することで、生徒の興味をひかせる必要がある。雑談の中身は、歴史上の人物の性格等、生徒が登場人物を身近な人物と感じることができるように演じながら授業を実践することで、生徒に興味を持たせる。
「社会科の重要性に対する再認識」は「次の世代に繋げる」授業を行っていく。その気持ちがあることで、「次世代に繋げる責任感を持つことで、教授法が変わってくる。」と佐藤先生は最後に指導する立場について伝えて頂きました。
最後に学びエイドの平林様が、「91.9%」という数字を表示し、この数字が「高校の先生が進路指導に苦手意識を持っている。」というお話をしていました。小中学生時代を育てた生徒が高校入学後に塾を辞めるのではなく、小学生から高校生まで通い続けられる塾を創ることの重要性について、お話されていました。

②RIKABESQUE 伊丹龍義先生、田中龍之介先生 / 大学受験科 My Self Learn 木原弘人先生

まずは、伊丹先生より「理科教育」の現状のお話がありました。一つ目は、「地域格差」の点、学習塾において、「理科」の指導する際は「物理」「化学」「生物」「地学」の講師をそろえる必要するのが難しい現状がある。生徒一人一人に合わせると5人を確保することは困難である。その際に、映像授業では、一つの端末で全ての授業が受講できることができる。また、「理科」の試験が「暗記」から「思考・理解」へと変化している入試の中で、講師の力量が問われている現状がある。そして、二つ目は「学校格差」の点である。例を挙げれば、「公立中学から高等学校」と「中高一貫校」。授業形式などにおいて、小さな影響かも知れないが、大学入試まで考えると大きな影響になる。その中で、映像、オンライン授業を活用しながら「理科」授業について考える。
田中先生からは、「生物」の入試について、現状の「生物」の試験は、「暗記」と言われた時代から、「知識」を活用し、読解や推察する問題に変化している。その中で、「探求型」「実生活に即した内容」など、情報処理能力も試されるようになっている。実際に、現場で生徒の「生物」の成績を見る際に、「国語」「英語」といった読解系問題科目や「化学」の計算問題が生物の成績にも影響することから、講師一人で支えるのではなく、複数科目の講師が手を組み「共創」型の指導をする必要があると考えられる。その中で、従来「暗記」科目と言われてきた「生物」ではなく、自ら問題を発見し、解決を探る思考科目に変わったいう認識を持って、指導側も生徒に指導する必要がある。だから、暗記型での「短期集中」型の学習ではなく、他の理系科目同様に「思考・判断」の科目に入試問題が変わったので、高校1・2年生の早い段階から始める必要がある科目になった。
今後の高校生の指導において、「コーチング」「授業体系」「データ解釈/文章読解」が重要視されていく。今後の流れで、講師採用が以前と比較して難しくなると「オンライン授業」を活用する方向も考えられる。現状、高校生では、英語、数学の講師を採用できるが、国語、理科、社会の講師の採用が困難であり、また、生徒のニーズに応えられない現状がある。安定的な塾運営を考えるならば、映像授業も活用の一つである。映像授業は、「ただ、視聴する」。だけでなく、「最適化」する必要がある。映像授業の場合は、授業する講師と質問する講師は別なので、「授業」と「質問」の満足度が違う場合がある。その声などを反映して、「RIKABESQUE」を立ち上げる経緯になった。
実際に、「RIKABESQUE」の導入塾の木原先生が「地方の塾が抱える問題点」というテーマでお話しいただきました。地方の学習塾では「地方格差」がある。具体的に、大学受験の情報や講師採用などがある。また、大手予備校も少なく生徒の学習環境でも大きな差を感じる。地方の塾は、「かかりつけ医」のようなポジションになり、各科目の学習バランスや勉強方法等も指導する必要があり、必然的にオンライン授業などを活用することが重要である。ただし、オンライン授業を活用するだけでは、生徒フォローにならず、映像授業だけではなく、問題集も提示することが重要である。これからの塾運営として、「地域格差」の問題を埋めるのことは、オンライン授業を活用することで「全国均一」にできる未来とチャンスがある。これらのことを学習塾が顧客に提供できると考えていく時代になることを学ばせていただきました。

③最後に埼玉県私塾共同組合坂田理事長より、講評と御礼があり無事終了。

佐藤先生の授業は、自分が受講しても楽しい授業であると感じた。また、田中先生は、地方の学習塾のために応援しているとのことです。また、私塾ネットの若い先生のつながりで2時間の研修の中で、毎回参加することで学びの機会を設けさせていただいている。と、感謝の言葉を頂き、無事に終了しました。