エリア報告|柿崎 純(個別指導Axis観光通り校・青森県)

個別指導Axis観光通り校の柿崎です。今回は視点を変えて、東北地方の公立高校倍率と2022年度青森県立高校入試全体の所感を書こうと思います。

1)東北地方主要公立高校志願倍率推移

2020年度から2022年度までの東北地方にある主要公立高校の志願倍率を表にまとめてみました。ここでは各県の公立上位校と呼ばれているものを取り上げています。

各県において特有の事情がありますが、本表で挙げている高校の志願倍率は1.00倍以上となっています。それなりの競争率があると言えましょう。また、揺り戻し現象がある程度見ることができますから、翌年の入試倍率を予測することが比較的しやすいとも言えましょう。

2)高倍率の「探究科」

「1」の表の中で注目したいこととして、山形県内高校の「探究科」の倍率が「普通科」の倍率よりも相当高くなっていることが挙げられます。「探究科」とは、「各教科で学んだ基礎的な知識・技能を活用し、自ら見つけた課題の解決に向けて主体的・協働的に取り組む『探究型学習』に重点を置く学科」とのことです。山形県は2018年度(平成30年度)にこの学科を設置しました。「探究科」設置の狙いとして、「やまがた創生やグローバル課題の解決などに果敢に挑戦する心を育てること」、「社会の変化に柔軟に対応できる思考力・判断力・表現力を育てること」、「大学入試制度改革に対応し、高い進路目標を達成できる学力を育てること」の3点を挙げています。このような狙いのもとで設置された探究科ですが、この中でも山形東高校の探究科は、2021年度入試時に東京大学の学校推薦型選抜に初めて挑んだところ、3名の合格者を輩出しました。このことは報道番組やビジネス誌で注目されていることから、既知の方がいらっしゃると思います。

前述のように、開設当初から高倍率になっている探究科ですが、高倍率の理由として、従来の授業形式を保ちながらも生徒自身が積極的に学習できるようにするべく、学校全体が一つとなって生徒を支援し続けてきている姿勢を示していることが考えられます。しかも、その姿勢は言葉だけでなく実行を伴っていることから、大学入試において相応の成果を出しているとも言えます。したがって、山形県内の高校における探究科人気は当分続くと思われます。なお、山形県内の学習塾の合格実績も、探究科を強調していることを付記しておきます。

3)2022年度青森県立高校入試への所感

2022年3月8日(火)に、青森県立高校入試が行われました。コロナ禍初であった2021年度入試では、学習の遅れ等への配慮による基礎基本を重視した問題が数多く出題されました。この傾向はコロナ禍2度目となった2022年度入試も続くと思われましたが、むしろ、コロナ禍前の水準の難易度に戻した問題が出題されたというのが個人としての感想です。教科書改訂最初の入試だったこともあり、新しい学習内容が数多く出題されると思われましたが、各科目1、2題の出題に留まりました。個人的に印象に残っている問題として、英語「wish+仮定法過去」の作文が挙げられますが、基本事項を問うものでした。新しい学習内容の理解度について問う場合、基本的な内容に留めていたのがほとんどではないでしょうか。むしろ、応用問題は従前から学習している内容を踏まえたものが多かったと言えます。

もう一つ、大事な出来事がありました。それは、一部の科目において解答用紙のレイアウトが変更となったことです。変更内容は次の通りです。

1:全科目に小問記入欄が設けられたこと
2:数学、理科、社会の解答欄の段組みが1段から2段に変わったこと

この変更に先駆けて、青森県私立高校入試の数学、理科、社会の解答欄の段組みも変更となりました。長らく青森県外で受験指導を行っていた当方には、このような新しい解答欄に何度も遭遇しているので、レイアウトの変更にについて深く考えていませんでした。しかしながら、受験生にはそれなりに衝撃があったようです。レイアウトの変更は、他県における採点間違いを根底にして、その間違いを最小に抑えるようにすべく行われたと思われます。

何より傾向に左右されることのないよう、基礎基本を重視しつつ応用発展問題にも対応できる学力をつけてもらうよう、面談や学習指導を進めるのが大切であると改めて確認した次第です。